ロボット娘(その4)

無事、正月の肩もみテストを合格した美和さん。
アバターロボット、実家AI、個室セルAI、操作者用の装着具、そして、各種計測システムの点検も終わり、実家に送り出したので、
今は、自宅の食卓でゆっくりくつろいでいた。

そこに晴代ちゃんがやってくると、ちょこんと座った。
「ママは明日から、東京でしょう?」
「そうよ。明日は東京の実家。アバターロボットの調整のお仕事でね」
「ねえ、ママはなぜアバターロボット開発したの。なぜ最初におばあちゃんなの?」

「2020年の新型コロナショックがきっかけかしら。もう5年も前になるけど。」
「あの時、日本はもう数十年の沈滞期だったと思うの。」
「そこに新型コロナショックがやってきて、あの時世界中がその話題で頭を悩ませていたの。」
「それを何とかしたくて始めたのかな」

「このアバターロボットができたら解決できるの?」

「全部はね~。とても。でも幾つかのことならできるかも」
「病、お金のこと、介護のこと、これらに解決の道がつくかもしれない」
「そして何故、おばあちゃんかと言うと、アバターロボットに世話をされると、どう人は思うのか?それが不安なのよね」
「そこが、一番気になるところだから。」

「テストで短期間アバターロボットに世話されるのと、死ぬまで、世話されるのは、違うかもしれない。」
「でも、素直にどう思うか、おばあちゃんだったら、言ってくれるからよ」
「アバターロボットをスマホと同じように思ってもらえればいいのだけれど、見かけは人間に似せた。でも、それでも、やはりロボットはロボット。」

「私だったら、一日中眺めていても飽きないのに」

「あなただったらね(笑)。でももう早く寝なさい。明日は早いんだから。」

(その5へ続く)