ロボット娘(その2)

「一週間で10万円?」
「そうよ、それだけ年をとった方の意見は重要なのよ。嘘じゃないわよ。」とまた、唇の左ハシが少し上がる。

いけない。いけない。これは罠だ。罠に決まっている!
しかし、10万円ということに対し、嘘も言っていない。これは娘だから断言できる。

「ねぇ、お母様は、いつもお父様に肩を揉んでもらって、いつも上手だと言ってたから、そんな風に揉めたら良い製品になると思うの」
「それに、私は大阪でお母様は東京と離れて暮らしているでしょう?私が、お母様の肩をもみたいと思っても、なかなか揉めないの」

嬉しいこと言ってくれるが、これは罠だ!何とか脱出しなければ!

「ロボットがお母様のところにあれば、娘の晴代ちゃんも行ってみたいと言っていたわ」

うえっl 孫まで引き合いに出したか。
こりゃ、執念だな! うーん。

「うーん。そうだね。お前も本当は肩を揉みたかったんだね。」

「本当はそうなのよ。」

「じゃあ、今度の正月、戻ってきて3日間、私の肩を揉んでおくれ。それが上手だったら、オーケーしても良いよ。」
「だって、身代わりロボットなんだから、元の揉む人の揉み方が悪ければ、揉んでもらっても気持ちよく無いだろうし。当然、お前が揉んでくれるだろうし」

!!!

(続く)

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