「美和さんが来ました。美和さんが来ました」というロボットの声を聞いた武子さん。
娘から、アバターロボットを実家に置きたいのと言う話があった日のことを思いだし、
チラリと緊急停止ボタンのついたリモコンを見た。
元々、機械好きであった娘であるが、まさか、あんな提案をしてくるなんて!
あんな提案とは・・・
「お母様、開発中のアバターロボットのモニターをしてくれない?」
そう言った後、娘の唇の左ハシが、少しつりあがった。
「なんだい、そのアバタロボットというのは?」と言いながら、嫌な予感に捉われた。あの唇の左ハシが上がるといつも何かトラブルが起きる。
「アバタロボットじゃなく、アバターロボットよ。私の身代わりロボットと言ったらいいかな」とニッコリ微笑みながら話を続ける。
「スマホでは、声や姿は聞けても、お母様の肩を揉むことはできないじゃない。そういうことができる身代わりロボットよ」
「ほら、お母さん、近頃いつも肩が凝ると言っていたじゃない。」
ますます怪しい。
まさか新開発の高級按摩器の実験台にするつもりじゃないだろうか
「お前がモニターをすれば良いだろう」
「それがそうもいかないのよね。年をとった人から見て、どうなのかということが、今回の目的だから」
ニヤリ!
「では、私も対象外ね。私もまだ若いから。年はとっていないわよ。」
一件落着!
「あら、残念ね。モニター代としてたった一週間で10万円出るのに」と澄ました顔。
!!!