「こちらセンター 22時頃、麻布十番、鳥居坂下交差点にて、乗用車大破、怪我人が出たとのことで、レスキューと救急の要請がありました。パペット3号現場へ直行願います」
「こちら救急パペット3号、麻布、鳥居坂下交差点に向かいます。」
そう答えながら、運転をしていた鳥井さんは、
「救急パペットに連絡が来たということは、大けがをしている人がいるとセンターも予想しているのかな」
「ドクターが遠隔操縦できるリモートロボットを搭載している救急車はまだ5台しかないからな」
そう思いながら、左折と同時にサイレンを鳴らし始めた。
しばらくすると、電子音と共に、担当医の名前がディスプレに表示された。
それを見た鳥井さんは、「メインが若井さん、サブが古川さんか、ベテランコンビだな」とつぶやいて、OKの所をタッチして、ドクター達のパペット号へのアクセスを許可した。
一方、救急ドクター詰所では、若井、古川 二人のドクターがリモート操縦席に着いて、パペット3号内で、けが人の治療開始に備えてパペットと、機器の動作確認をし始めていた。
「若井さん、パペット3号よりアクセス許可でました。」
「こちら若井、あと現場まで何分?」「こちらパペット3号。後、10分後には着きます」
「急がないと、いけない」若井さんは、そう思いながら、古川さんと共に、救急車内のモニターの状態や、パペットの動作確認、薬品の在庫の確認、洗浄用アルコールシャワーの動作確認を開始し始めた。